洪水から命と財産を守る本文へジャンプ
<<おいしいお米は洪水のたまもの>> 
 
「エジプトはナイルのたまもの」(ヘロドトス)と言います。ナイル川は、毎年7〜10月に上流域が雨期になり、下流域が増水し氾濫しました。このとき上流から肥えた土が運ばれてくるため下流域では肥料なしで年に2〜3回の収穫ができました。そして、この洪水から命と財産を守るための治水事業が発達し、エジプトに文明が発達したのです。

新潟平野など日本の穀倉地帯も、信濃川の氾濫で肥えた平野ができたことの恩恵ですし、そこに住む人の命と財産を保全するために治水事業が発達したので、エジプトとよく似ています。


現代は交通が便利になった反面、道路橋に流木が引っかかるなどして川の水があふれ出るということも頻繁に起こっています。単に川の水が増水しているだけではなく、上流の斜面崩壊が土砂と流木を供給しているわけです。流域全体で治水を考えなければならない時代です。とはいっても、それは公助でしかできません。さしあたって自分と家族の命と財産を守るためには何をしたらいいでしょう?洪水の勢いは、堤防が決壊したときがもっとも大きく、水は家をなぎ倒していきます。そういう場所に住んでいる人は、いかに早めに逃げるかが勝負の分かれ目です。堤防から離れているところに住んでいる人は、家の建て替えに際して地盤の嵩あげをしましょう。どう頑張っても洪水は必ず来ます。くることを前提に物事を考えるようにします。

(1)洪水でできた低地には住まない。
(2)以前水田だったような低地に家を建てる場合には、地盤を嵩あげして洪水に備える。
(3)堤防の裏に住んでいる場合には、安全なうちに財産担いで逃げる。

橋に流木が引っかかって水があふれ出ます

新居浜市 2004年10月 豊岡市 2004年台風23号

    
土砂に埋まった家屋(新居浜市) 豊岡市 2004年台風23号
2004年台風23号の際の日高町(現豊岡市)
流域の頭部には、崩壊・土石流があります。
堤防の破堤防止工法(堤防用PDR工法)
堤防の決壊は洪水で起きますが、実際にどのような手順で決壊に至るのかは、はっきりとわかっていません。2004年福井水害でも、決壊が越流してから起きたのか、堤防のすべり破壊が先立ったのかは明確でありません。
 
今回の実験でもそれが判明するわけではありませんが、興味深い現象がありました。実験では破堤は以下の手順で発生しました。
 
(1)法尻小崩壊→(2)堤体の円弧滑り破壊→(3)堤体天端の円弧滑りに伴う沈下→(4)河川水が天端沈下部で越流→(5)越流水が堤体を侵食し決壊
  
 
本工法(堤防用PDR工法)のポイントは以下の通りです。
  1. 浸潤線を川裏法尻に近づかせないようにするため堤体内から速やかに排水し浸潤線を下げる。
     
  2. しかしその際に、堤体内の土砂を流失させないようにしなければならない
      
  3. 河川堤防は延長が長いので、簡易に施工でき、かつ安価でなければならない。
     
  4. 地震時の過剰間隙水圧消散も同時にできれば、豪雨と地震の二重投資を回避できる。
     
  5. 対策工が、堤体の地盤強度を低下させてはならない。補強効果があればなお良い。
 
参考資料
 ・河川堤防用ドレーン工法
 ・國眼定 台風23号で発生した北但地区における洪水・土砂災害の調査と考察
 ・台風16号および21号に伴う豪雨で被災した新居浜市の調査速報

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