空積み擁壁は震度5強程度でも転倒します。練積み擁壁は震度6強くらいまでは転倒しませんが、震度7では転倒する場合があります。震度7でも転倒しないようにするためには補強が必要です。
擁壁の健全度診断方法
・老朽化擁壁の外観調査
–近接目視による変状調査
–点数法による評価
・表面波探査(推奨)
–躯体の一体化診断
–背面土砂の健全度
–S波速度による評価
解説
擁壁に変状が無いかどうかを目視で調査するのが「外観調査」です。しかし石積み擁壁などでは、対策の必要性などがはっきりしません。表面波探査では、空積みか練積みかも含めてS波速度で評価可能です。
擁壁の表面波探査(国総研の方法)
擁壁の表面を打撃して振動を起こし、受振器でその振動をとらえ、擁壁の躯体と、背面土砂のS波速度を計測します。その値によって、危険度区分を行います。これによって、練積みか、空積みかの区別や、躯体の一体性の不足などが明らかになります。
対策方法
(1)空積み擁壁をセメント系充填剤で充填して、躯体を一体化させます。躯体の一体化ができれば、震度6強程度まで転倒しなくなります。
(2)震度7でも転倒しないようにするためには、排水補強パイプなどを擁壁から打設します。
排水アンカー工の設計方法
水平加速度・施工段数・施工ピッチ・有効摩擦長を入力し、安全率を計算します。安全率が1.00を下回らなければ、その加速度では転倒しないことになります。排水アンカー工は、震度6強を超える地震動でも転倒しない擁壁とする目的の場合に活用できます。