本文へジャンプ土壌汚染リスクを回避するためには
土壌汚染・地下水汚染・地質汚染のリスク
想定されるリスクには下記の4つがあります。マスコミが取り上げるのは主に健康リスク。銀行など金融機関は土地の担保価値がなくなることを恐れ資産リスク管理を行います。日本では土壌・地下水汚染情報は企業に開示義務がありませんし、操業中であれば調査も免除されます。しかし、誰かが調査して公表すれば「重要な情報を隠匿していた」ということで社会的信用を失いますので、企業経営者は「臭いものには蓋」ですむとは思っていないでしょう。

・健康被害のリスク-----------------------> 土壌汚染防止法が法的にカバー
・資産価値(担保価値)としての資産リスク----> 銀行など金融機関が評価・判断
・社会的信用を失うリスク------------------> 企業経営者が判断
・浄化計画がうまくいかないリスク-----------> 対策が不十分

浄化費用・工期のリスクが不明確
 
 土壌汚染防止法で定められている土壌汚染調査法は、あくまでも「人間の健康を害する恐れがある土壌汚染が存在するかどうかを調査するためのもの」、です。指定調査機関の講習会などで、さかんに法令通りの調査法をするようにとの指導がありますが、これも上記の目的のためのものです。
 注意しなければならないのは、「土壌汚染浄化のための調査は、法令の調査手法とは違う」ということです。ここを勘違いしているために起こるトラブルが報告されています。トラブルとして最も多いのが、「調査して浄化工事をはじめたが、水を汲み上げはじめると、調査時にもなかったような高濃度の汚染物質が上がってくるし、いつまでたっても薄まらない」というものです。土壌汚染は、工場跡地などで行われるため、基本的に民間のビジネスベースでの話です。「マニュアル通りのやり方でやったけどもうまくいかなかった」、ということが言い訳として通用するところではありません。
 
 なぜ、このようなことが起こるのかというと、答は簡単です。「土壌汚染浄化工事のための調査を行っていなかったから」という単純なものです。土質屋さんや地質屋さんが、地層や土層を取り扱うような感覚で土壌汚染を取り扱うと、メッシュ調査法で精度良く汚染分布が把握できると誤解しがちです。相手は化学物質なので、地層や土層のようなわけにはいきません。
 
 どう違うのかというと、化学物質は狭い範囲に密集しがちであるということです。そして、濃度は指数的に変化しますので(桁違いにという意味)、狭い範囲の高濃度箇所に、汚染物質の大半が存在するということが平気で起こります。そうすると、この高濃度密集域を事前に知っておかないと、工事の計画も工費の調達もうまく行かなくなります。具体的には、工期はメチャメチャ延びて、工費は当初想定の何倍にもなってしまいます。


EVS探査法

 日本よりも20年早く土壌汚染に取り組みはじめたアメリカでもおそらく同じ問題にぶつかったのだと思います。EVS(Environmental Visualization System)には、この汚染物質の密集帯を探すためのツールがあります。できるだけ少ない調査本数で、一番濃い場所を見つけるという優れものツールです。

土壌汚染は、ジュリア・ロバーツの映画「エリン・ブロコビッチ」で紹介されているように、アメリカ発祥の公害問題です。

 EVSは、そのアメリカで育った環境用に特化したソフトウエアですので、土壌汚染に関して出てくる様々な問題解決がツールとして組み込まれています。

 民需は、資本主義社会でのビジネスですので、マニュアル通りにやったけどうまくいきませんでした、ということが通用する場所ではありません。具体的にはメッシュ法で土壌汚染浄化の計画を立てるのは、あまりにもリスクが大きすぎます。マニュアル通りだから不可抗力、などの言い訳が通用するのは一部の公的な仕事だけです。地質調査業界の一縷の望みの土壌汚染分野に参入したはいいけれど、民事の損害賠償対象となる仕事で大きく躓かないように気をつけて下さい。

 そのためには、土壌汚染発祥の地のアメリカで長年揉まれ、EPA(米国環境保護局)などで使われているEVSがお勧めです。単に3次元可視化ツールとして使っても十分凄いのですが、環境調査に使うとなお凄い、というしろものです。


参考資料
3次元空間解析による汚染地盤の調査数量と汚染量の信頼性について
Confidence of Soil Contamination Plume Estimation Using Three Dimensional Geostatistical Analysis


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